何を見ても「面ではなく線で見えてしまう」
“オガサワラ流”の成り立ちとは?
本名、小笠原美智。愛媛県今治市出身の23歳だ。今は京都に居を構え、創作活動を行っている。
年の離れた異母兄弟2人の下の末っ子として育つ。しかし、その話をすると「作品に関係ないから」
と軽くいなす。彼女は、中学生の頃から「絵を描くというか、線を書くのが好きだった」という。
「中学生くらいの時だったと思うけど、紀伊国屋(書店)に行った時、資生堂のパッケージの本を見て、
ああ、こういうものを作ってみたいなと思いました」
当時使っていたのは、製図用のロットリングペン(*1)という種類のもの。今は水性ペンを好む。
「風景とか、何を見ていても、面じゃなく、線で見えてしまう」のがオガサワラ流の見方。
その後大学に進むため京都に移り住む。当初グラフィック・デザインコースに在籍し、デザイナー志望だった。
「でも、デザイナーは他の構成する仕事だけど、私は絵描きの方が向いていることに気が付いた」という。
絵と親しむ中で「人物」を描くことに目覚める
そして大学で絵と親しむ中で、もともと苦手だったという「人物」を描くことにも目覚めた。
「19歳、20歳ぐらいの時だと思うけれど、毎日、人物のスケッチを描くようになって」
相手は、友達、だけでは毎日描くことはできない。
積極的に街に飛び出し、電車を待つ人の姿や雑踏の中の人、そして授業中も「人物スケッチ」に取り組んだ。
「始めの頃は“迷いの線”が多かった」とも振り返る。
その後、昨年春に晴れて大学を卒業し、「線画家」として独立した。
しかし、独立といっても、すぐに「絵」一本で生計が成り立つほど、甘くない。
現在は、古着屋でのバイトもしながら、創作活動を行っている。
現在は主に「パイロットの水性ペン」を使い創作にいそしむ。
「0.25ミリは細すぎるので、0.4とか0.5を使っています」。
使う色はグレーがメイン。その他、十数種類の色を使い分ける。
一口に線画と言っても「平面」で表現だけではなくTシャツやライターなど雑貨系も「オガサワラ系」に染める。
「Tシャツに描く時には、布に描けるアクリルペンを使います。お裁縫も好きで、コラージュで表現したりもします」
京都を中心に活躍するが、大阪への進出も計画。
「京都に親しんでいると、大阪は怖いというイメージがある」と冗談めかして言う。
「友達から、(大阪の洋服店は)お店に入っていく時はすごく愛想がいいのに、買わないと、ものすごく無愛想になるって聞いて、それがトラウマになってるかも」
でも「堀江(大阪市中央区)とかの雰囲気は好き」だとか。
作品の根底に流れている“気持ち悪さ”
「個展に来てくれたお客さんとかに聞くと、“最初は気持ち悪いけど、見ているうちに好きになった”と言われます」
この“気持ち悪さ”というのは彼女の作品の根底に共通して流れているものだ。
今はやりのキモ可愛い(気持ち悪いけど、可愛い)というのとは少し違う。
「(描く時には)下書きはしません。線が死んでしまうから。(下書きが無いほうが)いい緊張感があります」
これからは、以前に一度だけ経験したライブペインティング(*2)など、
他ジャンルのアーティストとのコラボレーションにも積極的に挑戦したいという。
「自分の未知の部分を開拓していきたいですね」
話はそれるが、彼女は動物なら「象とペンギンが好き」だという。
「でもペンギンって真正面から見ると、けっこう鋭い顔してますよね」。
<個展歴・受賞歴>
2002 京都デザインビエンナーレ入選
2003.7 うちわアート展(同時代ギャラリー)
2003〜2004(年末年始)アートブック展(同時代ギャラリー)
2004.8 ポストカード展(neutron)
9 個展「装展」(neutron)
11 「TOUMEINA MACHI」(新風館)
12〜2005.1 ライティングプロジェクト「ほのか」(文椿ビルヂング)
2005.2.15〜28 個展「コトハジメ」(リサイクル着物ショップichi・man・ben)
7.15〜31 個展「夢遊」(ヘアサロンliberta)
7.25〜8.21 京うちわ展(文椿ビルヂング)
9.29〜10.4 個展「白昼夢」(ギャラリーmizuca)
12.15〜2006.1.15 個展「ラグジュアリー」(ヘアサロンliberta)
2006.3 第148回 チョイス 準入選
*注1
ウィリアム・リープという人物が1928年、アメリカ旅行中に一本の変わったペンと遭遇し、
このペンの形状をヒントに考案したと言われている。
管と針の間からインクが通って、インクの排出量が一定の水準で維持されるもの。
いわゆる中空パイプ式の万年筆だ。彼はリープ社を立ち上げ、1931年に筆記具メーカーとして創業する。
商売はうまくいくが、第二次世界大戦などを挟み、リープは他界。
その後、同社は、二代目のヘルムート・リープへと引き継がれる。
そして1953年、それまでの技術を活かし、製図ペン「ラビットグラフ」の開発に成功。
1961年には社名を「ロットリング」と変更し、「ロットリングペン」がこの世に誕生することになる。
ちなみにロットリングとは、ドイツ語で「赤い輪」を意味する。
*2
音楽などの楽器演奏に合わせて、描画系アーティストが絵やイラストを描いていく手法。
また、複数の描画系アーティストが同時に描き、
お互いに刺激を与え合いながら描き進めるパフォーマンスとしても行われる。
もちろん、決まりはない。
■作品一覧
サイズ:A4(縦210×横297mm)
和紙 水性ペン
値段:18900円(税込み)
額装:1000円(税込み)
着飾った得体の知れないもの。
サイズ:A4(縦210×横297mm)
和紙 水性ペン
値段:16800円(税込み)
額装:1000円(税込み)
きのことおだんごとあつぞこ。
サイズ:(縦150×横149mm)
水性ペン
値段:10500円(税込み)
額装:1000円(税込み)
春の妄想。
サイズ:A4(210×296mm)
水性ペン
値段:15750円(税込み)
額装:1000円(税込み)