壊れ易く脆い
焼き物と「命」に
息吹を吹き込む
造形作家、嶋上敏幸は、1978年、大阪に生まれた。
芸術系の学校に通い卒業制作として、卵を使った作品を作り上げた。
彼はその卵の内部を歯車形式にした。「別に深い考えはなかった」というが、
「生命の源」ともいえる、卵をモチーフに選んだことは、その後の彼の方向性を暗示していたように思える。
素材にはこだわった。鉄でやっても変わりばえがしない。木でやってもありきたり。
そこで彼がたどり着いた素材は焼き物だ。焼き物と、卵という生命体。どちらも、もろく、壊れ易い。
はかなさという点で共通するこの両者が、絶妙なバランスを生む。
しかし、もともと、彼は造形作家を目指して幼い頃から勉強してきたわけではない。
中学、高校時代はバンド活動に明け暮れた。高校卒業後は、進路に迷い「ぶらぶらしていた」という。
「大学でも行こうか」という気楽な気持ちが、後の彼を産んだ。
そんな彼が、「naniwart」でも紹介している、いわゆる「胎児シリーズ」に取り掛かり始めたのは2003年頃から。
きっかけは「知り合いの女の子が堕胎をした」ことが動機となった。
彼の作品にちりばめられている「胎児」は、実際の胎児と同じく約2000グラムの重さがあり、手にしてみると、不思議なリアリティを感じさせる。
胎児が築く静謐間の中で
「堕胎は罪なのか?」
彼は自問する。そして「僕は罪だとは思えない」と言う。
「自殺が年々増え続けるような現在(注1)では母親のお腹の中でその一生を終えるということは、とても幸せな事なのかもしれない。
人の幸せは生きた物理的な時間と比例しないのだから。
それに生まれるはずだった生命は生まれることが必然なのだから、
時間、場所をずれて必ず生まれてくるはずだと思っている。
それまで彼らはこの公園で好きなだけ遊び続けて次に行くべき時が来たら次に進めばいい。
そして僕らはそっと思ってあげればいい」
この文章は、2006年に開催された彼の個展「Park Of Yours〜彼女も知っている僕らの公園」
に寄せた文章から抜粋した。
会場は、ブランコで遊ぶ「胎児」、砂場で戯れる「胎児」、シーソーで一人遊びに興じる「胎児」などが配され、不思議な静謐(せいひつ)感に包まれていた……。
社会に投げかけるもの
今後も彼は「胎児シリーズ」に力を注ぐ。
それは、生を軽んじる現代社会に対する彼流のメッセージが込められているのかもしれないし、
そうじゃないかもしれない。ただ、彼は作家として作品を作り続けるだけだ。
壊れ易い彼の作品群は、年月を経れば、綻びができる。
しかし、同時に「時代」という纏(まとい)を羽織り、その価値は増していくように思えてならない。
受賞歴
2002年 西宮市展入賞
2003年 茨木市美術展 市長賞・平野賞
2004年 こうべ市美術展 市長賞
三田市美術展 市長賞
2005年 豊中市美術展 入賞
伊丹市展 入賞
注1
警察庁の発表では、平成10年以降、同17年まで、連続して自殺者数は3万人を超えている。
■作品一覧
サイズ:
H150mm×W150mm×D100mm
値段:35280円(税込)
サイズ:
H200mm×W260mm×D220mm
値段:75600円(税込)
サイズ:
H2500mm×W3050mm×D700mm
値段:1500000円(税込)
単体サイズ:
H280mm×W250mm×D250mm
値段:150000円(税込)
サイズ:
H240mm×W120mm×D140mm
値段:44100円(税込)
サイズ:
H330mm×W300mm×D200mm
値段:97440円(税込)
サイズ:
H120mm×W250mm×D250mm
2.2kg
値段:42000円(税込)
サイズ:
H190mm×W120mm×D100mm
値段:33600円(税込)
値段:270000円(税込)
単体サイズ:
H280mm×W250mm×D250mm
値段:52500円(税込)